岡通運輸株式会社

価値ある物流サービスをワンストップで提供するために

愛知県豊田市に本拠を構える岡通運輸株式会社は、自動車部品輸送のスペシャリストとして事業基盤を築き上げてきた。神谷社長は、様々な経営課題が山積する中で、事業領域を拡大。培ってきた輸送サービスの付加価値を高める物流センターを開設。同時に従業員が安心して働ける、成長・活躍できる職場づくりを推進している。
※掲載内容は2023年8月1日取材時点のものとなります

次世代を見据えた経営で事業領域を拡大

本社(愛知県豊田市)

全国有数の“クルマのまち”として知られる、愛知県豊田市に本拠を構える岡通運輸株式会社。創業者は現会長の神谷一男氏である。当時は、主にヒューム管などの建材を運んでいたが、事業規模が拡大する中で、自動車部品の輸送も手がけていく。その後、売上の9割以上を自動車部品(パーツ、コンポーネント、資材等)が占めるようになったそうだ。こうして同社は、自動車部品輸送のスペシャリストとして、確固たる事業基盤を確立。そして2010年、経営の舵取りは子息である神谷昌広氏に託された。

「近年、運送業界は、ドライバー不足の解消や労働環境の改善、CO2の削減など、様々な経営課題を抱えており、事業体制の変革が急務となっています。私は、こうした経営状況を背景に、今こそ経営の舵を大きく切るときだと判断。社長に就任してからは、お客様のニーズにしっかり応え続けるため“一意専心”をスローガンとして掲げ、日々輸送品質の向上と共に新たな物流サービスが提供できるように取り組んできました。また同時に、従業員が安心して働けて、プロの物流マンに成長していける組織づくり、仕組みづくりを進めてきました。次世代に向けた新たな事業体制を構築し、お客様との信頼関係を高めなければ、課題解決の提案もできませんからね。この先、従業員の生活を守っていくためにも、きちんと利益を出し続けられる会社にしていかなくてはなりません」

全社一丸となって「一意専心(ひとつのことに心を集中すること)」のごとく事業に邁進。

と語られた神谷社長は、顧客や取引先の多様な物流ニーズに応えるため、2019年に第1・2物流センター(延べ床面積:約2,900㎡)と、物流司令塔としての役割を果たす新社屋(本社)を建設。本社は、生産性が高められる快適なオフィス、衛生的な休憩室やトイレ、ロッカールームが完備されている。さらに2022年11月には、安城市(愛知県)に、より規模の大きな安城物流センター(延べ床面積:約7,100㎡)を竣工。今年1月から安城営業所として運営を開始したそうだ。この十数年で、同社の事業領域は確実に拡大している。また、従業員の安全教育や人材育成も充実させるなど、物流現場のレベルアップにも余念がない。「良いことは、すぐにでも実行しよう、問題があるなら内容を見直せばよい」という神谷社長の経営判断の速さが際立っている。

安城物流センター
第1・第2物流センター
会社概要
代表取締役社長 神谷 昌広 氏
会社名
岡通運輸株式会社
所在地
愛知県豊田市福受町下ノ切244番地
設立年月日
1981年11月15日(創業:1967年11月27日)
代表者
代表取締役社長 神谷 昌広
従業員数
217名
保有車両台数
140台

拠点を集約・強みをつくる

自動車部品と言えば、必要なものを必要な量だけ、必要なときに納品するジャスト・イン・タイム方式が定着している。ネジ1本に至るまで綿密な生産計画に基づいて調達されるため、誤配や遅配、破損なく納品しなくてはならない。その点、同社は、自動車部品の輸配送(定期配送、集荷、横持ち)において、独自のスキルとノウハウを蓄積。東海3県(愛知・三重・岐阜)を中心に、数十年にわたって輸配送サービスを提供してきた実績を誇る。自社だけでも日々140台もの車両を稼動させており、顧客からの急な要請についても迅速に対応できるという。そこで、あらためて神谷社長に、倉庫事業へ進出した経緯についてお話しを伺うことにした。

「目的の一つは、本社、営業所など5拠点で運営していた事業体制を3拠点に集約すること。業務を効率化することで収益体制を強化しました。もう一つは、会社の成長戦略の一環として自社の強みをつくること。お客様のご要望どおりに部品をお届けするだけでは、到底他社と差別化することはできません。既存の輸配送サービスの付加価値を高める狙いがありました。最初のセンターは、少しずつ取扱量を増やし、開設から3年目で黒字化を達成。安城物流センターは、コロナ禍で設備投資が控えられていたこともあり、好条件で購入することができました。こちらは、主に一般商材などの取り扱いを予定しており、今後は流通加工サービスも提供していく考えです」

ちなみに安城物流センターは、建設段階で、まったく顧客を決めていなかったそうだ。しかし、コロナ禍が終息するにつれ、利用に関する問い合わせが増えているとのこと。まさに、コロナ禍を好機と捉えた神谷社長の決断が功を奏したと言えるだろう。

物流事業を軌道に乗せる

ところで同社では、今年度から心強い仲間が増えたそうだ。神谷社長の参謀役を務める常務執行役員の片桐美門氏である。大手物流企業でドライバーをはじめ、営業、運行管理、経営企画などを務め上げてきたという片桐常務。今後同社で、どのような役割を果たしていくのかお話しを伺うことができた。

常務執行役員 片桐 美門 氏

「神谷社長の中長期的な目標を具現化するために必要な情報を収集、分析し、事業計画を立案して推進することが私のミッションです。今年から安城物流センターの運用も始まり、いよいよ本格的に物流企業として始動しますので、今後は新規荷主開拓や円滑な倉庫運営を支援すると共に、ワンストップで物流サービスが提供できる体制づくりを進めていく予定です。神谷社長は、とにかく決断が早くて、指示も明確なので、このアフターコロナに伴う経済正常化のタイミングを逃すことなく、物流事業を軌道に乗せていきたいと思います」

働く意欲を高めるために

さて、事業領域を拡大する上で欠かせないのが人材の確保及び育成だ。実は、神谷社長は、以前から「応募者が尽きない、人が集まる、働き続けたい」という会社をめざしており、その準備を着々と進めてきたそうだ。職場環境の改善や福利厚生を充実させてきたほか、数年前からドライバー教育にも熱心に取り組んできたという。

「最近は『2024年問題』への対応が話題になっていますが、個人的には大歓迎です。これを機会に適切な運賃収受が促進され、運送業界全体でドライバーの長時間労働が改善されるよう期待しています。すでに当社は、勤務体系や待遇面を改善しており、現在はドライバーのレベル向上とキャリア育成に注力しています。ドライバーの働く意欲を高める中で、ドライバー不足を解消しています。もともと運送事業者は、高品質な輸送サービスを提供しており、ライフラインである物流を支えているのですから、もっと正当に評価されるべきなんです。社会的な評価が高まれば、ドライバーのなり手も増えることでしょう」

と神谷社長。同社は「働きやすい職場認証制度」の取得に加え「健康経営優良法人」にも認定されており、実際に従業員の離職率も非常に低いそうだ。今後は、女性ドライバーも増やしていきたいという。

安心して働ける、成長・活躍できる職場づくり

研修会や講習会、管理者教育など、定期的に徹底した安全教育を実施。
フォークリフト教育風景。フォークリフトには、ドラレコ及び安全対策用後方ブルーライトを装備。
タイヤチェーン取付講習。
全車トラックAT仕様。

お客様と従業員から愛される物流企業

安全面においても、同社独自のこだわりがあるという。早くから全車両にデジタコ、ドラレコ、バックカメラを標準装備してきたそうだ。安全をドライバー任せにしてはいけない、と神谷社長は話す。

「安全は、すべてにおいて最優先事項。どんなに教育、指導しても、完全にケアレスミスをなくすことはできません。しかも、ここ数年は、ドライバー未経験者やオートマ限定免許取得者の応募が増えています。それならば、車両もなるべく容易に操作できるAT車を導入するべきだし、事故防止に役立つ機器を積極的に利用するべきだと思います。その方が合理的で、結果的に生産性も向上しますからね。事故が増えればお客様の信頼も失われるばかりか、収益にも影響するので、これからも優先的に設備投資していく方針です」

物流事業を軸に従業員のキャリア形成も視野に入れ、会社づくりに邁進してきた神谷社長。これからも“人とのつながり”を大切にしながら、時代の変化に柔軟に対応し、物流サービスを提供していきたいという。神谷社長は、個人力、企業力、社会力を高める中で「お客様と従業員から愛される物流のリーディングカンパニー」をめざしているのだ。

大型トラック ギガ

※掲載内容は2023年8月1日取材時点のものとなります

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