いすゞ自動車(株)は、中型トラック 『フォワード』 シリーズのGVW8トンクラスの車両に、「平成10年排出ガス規制」に適合させるなどの改良を施し、4月8日より全国一斉に発売する。『フォワード』 シリーズは、日本で初めてトラック専用エアバッグを運転席に標準装備(平成9年)するなど、常にユーザーニーズを先取りした商品展開で好評を戴いている。今回の改良では、車両特性、経済性など中型トラックに求められている様々な要素を加味しながら、いすゞが従来から蓄積してきた数々のディーゼルクリーン化技術をベースに、
○「新開発 電子制御コモンレール式高圧燃料噴射システム」の採用をはじめとする、さらなる高圧燃料噴射化、
○吸排気4バルブ化
○中央燃焼室化
○燃料噴射ノズルの小噴口・多噴口化
などを実現。平成10年排出ガス規制への適合を図った。
また、燃費は、従来車比で車両全体として3~5%(社内実験値)の向上を実現した。
主な特長は次の通り。
<平成10年排出ガス規制適合技術>
平成10年排出ガス規制は、平成6年排出ガス規制の規制値からさらにNOxを25%、PMを64%、黒煙を37%削減するという規制である。
- 1エンジンラインナップを一新し、車両特性に合わせた3タイプ、6HK1-TC型(新開発、240・260馬力)、6HH1型(225馬力)、6HL1型(新開発、180・205馬力) を設定した。
- 2PM・黒煙を低減するために、3タイプのエンジンそれぞれの特性に合わせ、高圧燃料噴射装置を採用した。高圧燃料噴射は、燃料と空気の混合を促進することで、着火後はシリンダ内でムラなく燃焼し、すみやかに燃焼を終えるという、理想的な燃焼状態を形成する。
- 6HK1-TC型:「新開発電子制御コモンレール式高圧燃料噴射システム」(最大1200気圧)
- 6HH1型:電子制御式高圧燃料噴射ポンプ「TICS(Timing and Injection rate Control System)」(最大1200気圧)
- 6HL1型:従来型高圧燃料噴射ポンプを改良した「MD噴射ポンプ(電子タイマ付)」(最大1000気圧)
- 3PM・黒煙を低減するために、3タイプ全てのエンジンで、吸排気4バルブ化、中央燃焼室化、燃料噴射ノズルの小噴口・多噴口化を図った。
- 4NOxを低減するために、3タイプ全てのエンジンで、運転状況に応じた噴射時期の制御を図った。
- 5NOxを低減するために、EGR(排出ガス再循環装置)を6HH1型、6HL1型に採用した。
<中期ブレーキ安全規制対応技術>
- 1全車にABS又はLSPV(ロード・センシング・プロポーショニング・バルブ)を標準装備した。また、オートアジャスター付ブレーキも全車に標準装備した。
<その他>
- 1キャブ前面のラジエターグリルのデザインを変更すると共に、フロントオープンリッド部にラジエターグリルと同様のデザインラインを追加した。(NRR除く)
- 2新開発のセンタードロップ式フロントアクスルを採用し、4WDでありながら2WD車並のシャシ高さを実現した低床4WD(FRS-J、FSS-J)を新規設定した。
あわせて、大型トラック『ギガマックス』に、燃費と力を両立させた新開発6WF1-TCエンジン搭載車を追加設定し、同じく4月8日より全国一斉に発売する。
《目標販売台数》 GVW8トンクラスの『フォワード』シリーズ全体で 12,000台/年
『ギガマックス』シリーズ全体で1,000台/年
『フォワード』シリーズ 東京地区希望小売価格》(消費税含まず)
車型 | 主な仕様 | 最大積載量 | エンジン | 東京地区希望小売価格 |
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KK-FRR35L4 | 標準ドライバン | 3900kg | 6HL1 | 6,478,000円 |
KK-FRR35L4XA | 木製平ボディ | 4200kg | 6HL1 | 5,458,000円 |
KK-FRS33L4JX | キャブ付シャシ | - | 6HH1 | 6,043,000円 |
KK-NRR35C4D | 標準ダンプ | 4200kg | 6HL1 | 4,898,000円 |
《ギガマックス 東京地区希望小売価格》(消費税含まず)
車型 | 用途 | GVW | エンジン | 東京地区希望小売価格 |
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KC-CYL51V2W | カーゴ | 25トン | 6WF1-TC(370馬力) | 13,539,000円 |
【商品概要】
- 1エンジン
- 1ラインナップ
平成10年排出ガス規制に適合した3タイプのエンジンを設定した。
- 1新開発6HL1型 (無過給)
軽量コンパクトで積載性の向上にも貢献。市街地での輸送に最適なエンジン。 - 26HH1型 (無過給)
従来型の6HH1を改良、すぐれた動力性能で幅広い仕事に対応するエンジン。 - 3新開発6HK1-TC型 (インタークーラーターボ付)
ゆとりのパワーと経済性を発揮。高速走行や長距離走行に最適なエンジン。
エンジン型式 無過給 インタークーラーターボ 1 2 3 6HL1-N 6HL1-S 6HH1-S 6HK1-TCN 6HK1-TCC シリンダ数・内径×行程(mm) 6-115×115 6-115×132 6-115×125 種類 水冷4サイクル直接噴射式 水冷4サイクル直接噴射式 総排気量(cc) 7166 8226 7790 圧縮比 18.5 18.5 16.8 最高出力(PS/rpm)〔ネット値*〕 180/2800 205/2900 225/2900 240/2700 260/2700 最大トルク(kg・m/rpm) 50/1700 51/1700 58/1700 70/1400 76/1400 動弁機構・バルブ数 SOHC・4バルブ SOHC・4バルブ 噴射系 MD噴射ポンプ+電子タイマ TICS 電子制御コモンレール式
高圧燃料噴射システムEGRシステム 有り 無し *ネット値とはエンジンを車両搭載状態とほぼ同じ条件で測定した数値。 - 1新開発6HL1型 (無過給)
- 2クリーンテクノロジー
今回採用した3系列のエンジンには主に次(1~5)の様な技術を採用した。
6HK1-TC型 6HH1型 6HL1型 PM・黒煙低減 1.高圧燃料噴射化(最大1200気圧)
【電子制御コモンレール式高圧燃料噴射システム】1.高圧燃料噴射化(最大1200気圧)
【TICS】1.高圧燃料噴射化(最大1000気圧)
【MD噴射ポンプ(電子タイマ付)】2.吸排気4バルブ化 2.吸排気4バルブ化 2.吸排気4バルブ化 3.中央燃焼室化 3.中央燃焼室化 3.中央燃焼室化 4.燃料噴射ノズル
小径多(6)噴口化4.燃料噴射ノズル
小径多(6)噴口化4.燃料噴射ノズル
小径多(7)噴口化NOx低減 5.EGR採用 5.EGR採用 ○電子制御により噴射圧力・時期・期間をきめ細かく自由に制御 ○噴射時期の制御 ○噴射時期の制御 - 1高圧燃料噴射化
【電子制御コモンレール式高圧燃料噴射システム】(6HK1-TC型に採用)
このシステムは、サプライポンプ、コモンレール、インジェクターから構成される。サプライポンプで高圧化(最大1200気圧)した燃料を、コモンレールに圧送、蓄圧し、各インジェクターへ均一に分配、噴射する。インジェクターの開閉は電子制御で行われ、エンジン回転数、アクセル開度、エンジン冷却水温度等によって、噴射圧力、噴射時期、噴射期間などを最適にコントロールする。これにより、従来の噴射システムでは困難であった、全走行状態における噴射特性の最適化を実現した。高圧での燃料噴射が、PMの低減に貢献するとともに、電子制御で噴射圧力、噴射時期、噴射期間をきめ細かく自由に制御することでNOxの低減に貢献する。【TICS(Timing and Injection rate Control System)】(6HH1型に採用)
走行負荷・エンジン回転数等を各種センサーで検出し、最も効率のより状態で燃料噴射量と噴射時期を自動制御するシステム。カムリフトとプランジャ径を従来型よりも大きくすることで、エンジン全回転域で高圧噴射(最大1200気圧)を可能とし、PMの低減に貢献する。また、走行負荷に応じて噴射時期を制御することでNOxを低減する。【MD噴射ポンプ(電子タイマ付)】(6HL1型に採用)
つねに最適な燃料噴射量と噴射時期を自動制御するポンプ。高圧噴射(最大1000気圧)を実現し、PMの低減に貢献するととともに、走行負荷に応じて噴射時期を制御することでNOxを低減する。 - 2吸排気4バルブ化、3.中央燃焼室化、4.燃料噴射ノズル小径多噴口化(全エンジンに採用)
吸気2バルブ・排気2バルブの4バルブ方式を採用。また、4バルブ化にともない、燃焼室をピストンの中心に移設(中央燃焼室化)した。さらに、燃料噴射ノズル小径多噴口化および垂直化による噴霧の微粒化・安定化と合わせて理想的な燃焼状態を形成し、PM・黒煙の低減に貢献した。
- 5EGR(6HL1型・6HH1型に採用)
一度排出されたガスを再び吸入空気と混合し、燃焼温度を低下させることで、NOxの低減に貢献する。EGR量はエンジン回転数や負荷に応じてコンピュータが自動制御。EGRバルブの開度を3段階に制御し、発進加速から低速走行まで、クリーンな排出ガスを実現する。
- 1高圧燃料噴射化
- 1ラインナップ
- 2安全性
- 1中期ブレーキ安全規制対応技術
中期ブレーキ安全規制は、高速からの制動、故障時の制動距離、駐車ブレーキによる制動、 オートアジャスター(ライニングのすき間を一定に保つよう機能し、摩耗時の効き遅れを防止する装置) の取り付け、制動姿勢安定のためのABSまたはLSPV(ロード・センシング・プロポーショニング・バルブ) の取り付けなど、全体的なブレーキ性能の向上と動作の安定を義務づける規制。この規制に対応するために 次の装置を採用した。
- 1FRR以上の全車型にABSを標準装備した。
(高床全駆、一部車型は除く。FRR-S、NRRはオプション設定) - 2FRR-S、NRRにLSPV(ロード・センシング・プロポーショニング・バルブ)を標準装備した。
LSPVは、センサーが、リヤサスペンションの沈み込みを検知し、空車時でも積車時でもブレーキの効きを最適に保つ装置。
(FRR以上の車型でABSを装着しない場合はLSPVが装着される。) - 3オートアジャスター付ブレーキを全車に標準装備した。
ブレーキライニングとブレーキドラムとのすき間を一定に保つことで、摩耗時のブレーキの効き遅れ防止と、点検整備性の向上に貢献する。 - 4全車、ブレーキバルブを2系統化した。
万一、片方のブレーキバルブが失陥し、エア圧が低下した場合、ブザーで失陥状態をドライバーに知らせる。また、同時に、別系統のエア圧低下を防ぐ。
- 1FRR以上の全車型にABSを標準装備した。
- 2その他
- 1フォグランプ一体型ディスチャージヘッドランプを一部車型に標準装備した。
(NRR除く。標準装備でない車型はオプション設定) - 2NRRの運転席に、SRSエアバッグ及びロードリミッター付ELR3点式シートベルトとニーボルスターを追加設定した。
- 3エクステリア
- 1フロントオープンリッド部にラジエーターグリルと同様のデザインラインを追加した。
これにより、ラジエーターグリルのデザインも変更した。(NRR除く) - 2エアダム一体式フロントバンパーのデザインを一新し、力強いイメージにした。
(NRR除く。ターボ系とワイドキャブのみに標準、その他はオプション設定。) - 3NRRのバンパーをスチール製にし、ボディ同色とすることで、強度アップと見栄えの向上を 図った。
- 1フロントオープンリッド部にラジエーターグリルと同様のデザインラインを追加した。
- 4インテリア
- 1インテリアカラーをミディアムグレーにすると共に、シート表皮のデザインも変更した。(NRR除く)
- 2NRRのメーターパネルを変更し、オドメーター、トリップメーターを液晶化した。
- 5シャシ
- 1フォワードV(ベッドレス車)に、ショートキャブ専用のホイールベースを新規に設定した。これにより、ベッド付車と同サイズの荷台を、ワンサイズ短いホイールベースに架装することが可能になり、最大積載量が増大した。
- 6低床4WD車 (FRS-J、FSS-J)
- 1新開発のセンタードロップ式フロントアクスルを採用し、4WDでありながら2WD車並のシャシ 高さを実現した。
- 2エンジンは6HH1-Sのみの展開とした。
- 1フォグランプ一体型ディスチャージヘッドランプを一部車型に標準装備した。
- 1中期ブレーキ安全規制対応技術